t4i’s blog

はい、チーズ。写真を撮るか。チーズを渡すか。ここが運命の分岐点。

東北に行ってきた帰り

 

目が覚めると、目の前に置かれた二郎系ラーメンと向き合っていた。隣にいる父親は定番であり本人の好物である味噌ラーメンに手を付ける寸前だ。状況から察するに父親の実家の帰り道、ラーメン屋に寄ったというところだろう。店の時計は昼間の2時を指している。昼ごはんとしては遅いが、それくらい腹を空かせておかないと今対面しているバケモノは討伐できない。それにしてもマスクをしている若い配膳スタッフのお姉さんの声が可愛い。目が覚めて間もないため注意力が乱反射している。いい加減食べないと面が伸びるため、鉛のように重くなった手を持ち上げる。割り箸が綺麗に割れなかった。この時は気にもしなかったが幸先が悪い何かの予兆だったのかもしれない。一くち目、もやしが美味しくない。二くち目、もやしが美味しくない。三くち目、もやしが美味しくない。二郎系ラーメンでもやしが美味しくないのは致命的だ。また、美味しくないもやしに出会ったのも今日が初めてだ。なんなら最後であってほしい。もやしは本来どう足掻いても美味しいものだ。ここまでもやしが美味しくないと、そういう路線の研究をしているのかと思ってしまう。もやしを我慢しつつ気付いたことがひとつ。スープが味噌ベースなのでにんにくが掻き消されている。味噌が強すぎて二郎系独特のにんにくのパンチがない。にんにくという拳に味噌というグローブが着せられている。痛くない。ご自由にお取りください。と書いてあるにんにくの小鉢を逆さまにしてにんにくを投入した。ギリギリ食べ終えた。お会計税込980円。声の可愛いお姉さんスタッフではなく、ベテランっぽいおばちゃんがレジをやってくれた。胃袋的にもお財布的にも精神的にも重たいものとしてこれを今後の教訓としていきたい。店を出ると雨がぱらつき始めていた。最大火力のにんにくの匂いを撒き散らしながら父親の運転する車へと向かった。ちょっと一服したいから待っててもらっていい?と、言いたいところだったが、あんなイマイチな二郎系オマージュパクリ風味ラーメンを食べた土地に長居は出来ない。帰ってから録画してあるクレイジージャーニーでも見てこの気持ちを落ち着かせよう。パーカーのポケットに入っているジッポの蓋をカチャカチャ遊ばせながら、車のドアを開けた。