t4i’s blog

はい、チーズ。写真を撮るか。チーズを渡すか。ここが運命の分岐点。

雨がアスファルトを打ち付ける音、何かを炒めてる音に似てる。

どうも。

 

さて、帰路。いやはや、帰り道なのである。ザ・週末。そうなのだ。ウィークエンドなのだ。家に帰ったら借りてるゲームソフトに手を付ける。手洗いうがいしたらソフトをインストールするところから。そこから今日の一日が始まると言っても過言ではない。電車の中はいつもより蒸し暑いような気がする。高田馬場は人が大勢乗ってくるインフェルノ・ステーションなのだが、それにしても今日は蒸し暑すぎる。誰か加湿器でも付けているのか。最近髪の毛を伸ばしているので湿気に極めて弱い。乙女の気持ちがまた1つ理解出来た。やたら湿気が酷かったのでひとまず寝ることにした。電車の座席の座り心地はさほど良くないが、そんなこと言ってる場合ではないほど疲れているので一旦寝る。

 

 

カンカンカンカン

クソ〜〜〜っ……

カンカンカンカン

このチャーハンどうしてもパラパラにならない…

カンカンカンカン

てかこの鍋、軽すぎて持ってる感じしないな…

チャーハンは鍋の上で踊っている。そんな自分も蒸し暑い厨房で中華料理鍋を片手に踊るようにチャーハンを炒めている。

まだだ…まだパラパラになる…もっと粉末に近いチャーハンを……もっと……あれ、オーダーから何分経ったっけ…お客さん結構待ってるよな…でもだからと言ってこんなクオリティのチャーハンを提供していい訳がない…!!!気がする。

カンカンカンカン

蒸し暑くて汗が頬を伝う。いや、涙だったかも。どちらにせよそれだけ熱意を持ってチャーハンを作っていると言うことだ。多分。

今は考えるよりも手を動かせ…

すると眼鏡を掛けた小太りの中年男性が厨房に入ってきた。

なんだコイツ…このチャーハン頼んだ客か…!?もしかして俺がチャーハン作るのに手間取ってるから気になって厨房まで来たのか!?

小太りの中年男性はこちらをじっと見ている。やりづれぇ…

暫くすると、その中年男性が口を開いた。丁度平仮名の「あ」を言い出しそうな口の形をしている。次の瞬間だ。

「ゴアアァアアァアアアァアアァアア!!!!!!!!!!!!!」

小太りのソレは怒鳴った。

 

 

 

ウッ……

 

目が覚めた時には電車の中の人は減っていた。ただまだ少し蒸し暑い。寝てる時に怖い夢でも見ていたのか、酷い程に汗をかいている。それに外も時間の割にやたらと暗い。若い男女が向かいの席で会話している。

「どうしよ傘持ってないんだけど…」

「え〜アタシも無いよ?」

は?なに?雨降ってんの?外を眺めるも、降ってはいなさそうだ。ただそういえば台風が近付いてるとか聞いたような。もしや今日これから降るのか…

ヒヤヒヤしながら乗換駅で降りると直後に激しい光が1フレームくらい目の前をいっぱいにした。

(あっ、走馬灯?)

そう思い終わる頃にはめちゃくちゃデカい轟音が耳を貫通した。

「ゴアアァアアァアアアァアアァアア!!!!!!!!!!!!!」

 

!?!?!???!!?

これは間違いなく雷だ。フニカルのエンハンス5のラストワードの音に似ていた。それはそうなのだが。

乗り換え電車に飛び乗り、最寄り駅までたどり着いた。その頃には雨はどしゃどしゃに降っていたし、雷も爆音で出迎えてくれていた。

そういえば俺も傘持ってないなぁ…そう思いながらバスに乗り込んだ。降りる頃には雨弱くなってるといいけど。不安が胸をいっぱいにする。

近所のバス停まで来たが、もちろん雨は弱くなっているはずもなく降りた途端、高速の雨粒を一身に受けた。

(カバンの中の書類、濡れるよな…)

焦った自分は家まで走った。深い水溜まりも踏みつけながら最短距離を駆けた。雨で滑って転ぶにしても、車に撥ねられるでも、雷に打たれるでも、とにかくいくらでも死にようはあったが、お構い無しに走った。数枚の紙のために家まで死ぬ気で走った。

自分はびしょ濡れにはなったがカバンは必死に守った。その甲斐あってか、カバンは一部を除いて殆ど濡れていなかった。書類が濡れていた場合のことを考えたら乾かさなければいけないし、どちらにせよ濡れていないか確認しなくてはいけない。

 

一目散にカバンをひっくり返すと、折り畳み傘がゴロッと転げ出てきた。

 

 

 

おしまい。