血統と対峙する少女はパン屋の店番をする。
どうも。
自分は魔法少女というジャンルが好きです。「魔法少女まどか☆マギカ」や「魔法少女育成計画」「カードキャプターさくら」など様々な年代の魔法少女作品をやんわりと見てきました。
そんな自分ですが今日、魔女の宅急便を観ました。幼い頃からジブリ作品を観てきたので馴染み過ぎて気付かなかったのですが、もしかしたら自分の中での元祖魔法少女モノがこの「魔女の宅急便」かもしれません。
この歳になって改めて観た魔女の宅急便、少し違った視点で観えました。今この歳で感じ取った感想をここに記しておきます。
魔女の宅急便の作中で、主人公のキキがある日を境にホウキを使って飛べなくなったり黒猫のジジと意思疎通が出来なくなるシーンがあります。
自分の気持ちに迷いが生じ精神状態が不安定になったり、風邪をひいて体調を崩し体力面で魔法を使う事が困難になる、言わばスランプのような状態に陥ります。駆け出しの魔女であるという事も絡んで物語の谷としてそんな苦難が描かれています。
ここからはあくまで僕の考察も含んだ考えになりますが、恐らくキキが魔法を使えなくなった根本的な理由はメンタル面の問題でも体調面の問題でもないのではないかと思いました。
キキが魔法を使えなくなった根本的な理由、それは「キキが純血の魔法使いではない。」というところだという考えに至りました。
そもそも魔女の宅急便の物語として具体的には語られていないものの、魔法使いの文明が絶滅の危機に瀕しているような描かれ方をしている箇所がいくつかあります。
都会に魔女は一人もおらず、もっと言えばキキの故郷ですら魔法使いは珍しいものとして扱われています。
時計台のおじいちゃんも「近頃は全く魔女を見なくなった。」と発言しています。
魔法使いは年々減少傾向にあり、最近では珍しい存在になってしまった。
そんなキキも、魔女の母親と普通の人間の父親の間に生まれたある意味でハーフの女の子です。
年々数が減少して、魔法使い族の血も薄くなっていっているのでしょう。そう考えるとキキが魔法を上手く使いこなせなくなってしまうのにも納得がいきます。
ただそうなってくると、最後にそれを克服したキキがより一層カッコよく見えてきます。
大切な人を助けたいという感情が、時に才能というどうしようもない壁を突破してしまう。
人を想うということは努力しても辿り着けない場所に導いてくれる原動力であり、愛がこの世界で1番の魔法であるということなのかもしれません。
昔はそんな事に気付かずに鑑賞していました。歳を重ねてから改めて観る事で作品の良さをより理解できる。ジブリ作品のそういった設計には深く感銘を受けます。今一度大切なことを学んだ気がします。この先、魔法使いの一族の血が薄れていってしまったとしても後世に語り継がれていって欲しい作品です。
おしまい。